室内・車内でのコーティング
マスク等の衛生用品のコーティング
触媒(しょくばい)とは、他の物質の仲立ちになり、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいいます。化学反応では、物質(反応物)が原子の組み替えをおこなって元の物質とは異なる物質(生成物)になります。この時、反応が進むためには活性化エネルギーと呼ばれるエネルギーが必要です。これは自動車が燃料のガソリンが無ければ、山を越えられないのと同じです。この活性化エネルギーがなければ、山を越えて生成物の方に行くことが出来ません。
触媒を使うと、この活性化エネルギーを小さくして、少ないエネルギーで反応を進めることが出来ます。山を低くして反応を進めやすくしてくれる訳です。
触媒を使うことで通常より少ないエネルギーで反応を起こすことができ、また触媒自体は変化しないため半永久的に使うとが出来ます。
触媒は現代の化学工業や有機化学にとって欠く事の出来ないものです。また、生物にとっては酵素も触媒であり、自然界では光合成をする葉緑素も触媒です。一見、触媒と聞くと目に触れることが出来ない遠い存在のように感じますが、このように自身の体内にも自然界にも、身の回りの至る所で触媒は使われており、実はとても馴染みの深いものなのです
触媒は現代科学にとってなくてはならない存在であり、また身の回りにも普通に存在しています。
光触媒とは光のエネルギーによって働く触媒です。光触媒反応の例として、植物の葉に含まれる葉緑素による光合成があります。葉緑素という触媒に光が当たると化学反応が起こり、二酸化炭素と水から、酸素とデンプンを生成します。葉緑素自体は、反応の前後で変化していません。光触媒は光を吸収してエネルギーの高い状態(励起状態)となり、そのエネルギーを反応物質に与えて化学反応を起こします。つまり通常エネルギーとして使う電気屋熱などの代わりに光のエネルギーを使う太陽光発電のようなものです。
光触媒を使うと、数万度の高温でしか起こりにくい反応を常温で起こすことが出来ます。
従来の消臭・抗菌などは薬剤(塩素や次亜塩素酸等)を使うか、特別な機械によりオゾンやOHラジカルを発生するものでした。この方法では薬剤は常に消費し、機械では常に電力が必要ですし、天然の物より効果が低いです。しかし、光触媒のエネルギーの源は光です。この光とは自然に降り注ぐ太陽の光はもちろん、普段使用している室内の灯(白色電球やLEDなど)でも十分に働き、空気中の水や酸素からOHラジカルなどを発生し、室内の臭い・菌・ウイルス・有害物質などを分解除去します。化石燃料を使わず、有害物質を減らすため家庭にも地球にも優しい環境商材です。
加湿器用光触媒『LIVE BUSTER』は化石燃料を使わず光のエネルギーと空気中の酸素と水を原料に臭いや有害物質や菌・ウイルスを分解除去します。
太陽光の光エネルギーを使い、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去することができる環境浄化材料の総称です。
1967年に藤嶋昭東京理科大学学長/東京大学特別栄誉教授が水から水素をつくる研究で発見した酸化チタン(TiO2)と呼ばれる光電効果を持つ金属酸化物が光(野外・室内)に触れる事により、その表面で強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去することができる作用。これが光触媒効果です。
「光触媒」は日本で誕生した新技術として発展し、スタジアムやスポーツ施設など主に屋根の加工などに応用されてきました。しかし、2000年前半までの光触媒は繊維やプラスチックなどの有機系基材に使用すると、基材自体を分解してしまう事や紫外線に触れなければ光触媒効果を発揮しないなど、応用範囲がとても狭く、ごく一部の使用に留まっていました。
日本の研究者達は力を合わせ、光触媒の新たな利用方法や応用範囲の拡大を求めて、蛍光灯などの室内光でも機能を発揮する”新しい可視光応答型光触媒”の研究開発が行われました。
その結果、産業技術総合研究所が酸化チタンに燐灰石(りんかいせき)と呼ばれるアパタイトと鉄を組み合わせた可視光応答型光触媒の開発に成功します。
1972年
第1世代
粉末状の酸化チタン
1992年
第2世代
水溶液などのゾル型の開発
1997年
第3世代
可視光型光触媒への挑戦酸素欠陥型 実用化せず
2001年
第4世代
可視光型光触媒の開発窒素ドープ 2001年 可視光青色レベル
2009年
第5世代
鉄イオンドープによる灯触媒の開発2009年可視光青色レベル
2009年、産業技術総合研究所環境(※産総研)セラミックス研究グループは、繊維やプラスチック、紙などに適応できる可視光応答型光触媒を開発しました。産総研が開発した可視応答型光触媒は、従来の貴金属や希少金属を使用したものとは異なり、酸化チタン(Ti02)にアパタイトと鉄を組み合わせたものになります。
それまでの光触媒は一般的に、繊維やプラスチックなどの有機系基材に使用すると基材自体を分解してしまう。これに対し新型光触媒では、表面を光触媒活性を持たないアパタイトで部分的に覆うことで有機系基材の分解を抑える。この結果、繊維やプラスチック、紙などにも適用が可能となりました。
産総研が開発した可視光応答型光触媒は、新型酸化チタン(鉄酸化チタン)に光(室内光)が当たると、その表面から活性酸素が生まれます。この活性酸素を「OHラジカル」と呼びます。この活性酸素OHラジカルは不安定な成分であり有機物(ウイルス等)から電子を奪い取ることで自身の安定を図ろうとします。電子を奪われた有機物は結合を分断され、最終的には二酸化炭素や水となり大気中に発散していきます。
ウイルスや細菌等の有機物は結合エネルギーと言ったもので結びついています。この結合エネルギーは構成する分子の種類や結合の仕方で変わり、下記の表のような結合エネルギーでそれぞれ結ばれています。(C-C)(C-N)(C-H)(O-H)(N-H)と言ったような結びつきは100cal/mol前後のものが多く、それに対してOHラジカルは120cal/mol相当の非常に大きなエネルギーを持っているため、これらの結合を簡単に切断し、分解することができます。光触媒作用を利用することにより、有機化合物を完全に分解し、炭酸ガス(CO2など)や水(H2O)などの無毒な物質に変えることができます。そして、OHラジカルは酸化チタンに光と水が供給されると発生し続け、光触媒反応を続けることができます。
産総研が開発した可視光応答型光触媒は、新型酸化チタン(鉄酸化チタン)に光(室内光)が当たると、その表面から活性酸素が生まれます。この鉄酸化チタンは酸化チタン粉末に多数の添加物、酸化剤が配合されて作られています。
従来の光触媒とは、紫外線が当たらないところでは効果を発揮しない為、使用場所は常に野外にて使われる製品でした。産総研は屋内でも使える製品の開発を行い誕生した製品が鉄酸化チタンです。この鉄酸化チタンは紫外線、電球、蛍光灯の光が無くても常に触媒効果『OHラジカル』をもたらす製品です。
産総研が開発したOHラジカルは、土の中、水の中など場所を選ぶ事なく効果を発揮します。現在の使用用途は屋内、野外のコーティングからウイルス対策や消臭対策ですが、今後、様々な産業分野において人々の暮らしを支える製品になっていくと注目を集めています。